我がこととするには。専門家か、生活者か。
これもまた、エコプロでの生物多様性シンポジウムで上田 壮一さんが提供してくれた話題だ。
ドイツの「ゴールデンプラン」の話だ。
これは1960年に始まった。15ヵ年計画で進めた国民の健康増進運動だ。
実際に進めるにあたり、ドイツは「第2の道」という施策を採用した。子供や障がい者、高齢者などを含む一般国民にスポーツを普及させる施策だ。対して「第1の道」とは、トップアスリートの育成・強化の道だ。
ドイツは「第2の道」を選択した。
その結果、ドイツはスポーツ大国となった。一般国民がスポーツに親しむ中で、トップアスリートも育っていったのだろう。
この事実は、3.11の日本の社会づくりのうえで大きなヒントを与えてくれている。特にエネルギーの問題については、まさに「第2の道」を選ぶべき時にきた。
「第1の道」とは専門家の育成・強化に努めるものだ。
「第2の道」は、生活者が、環境や社会のことを楽しんで学び、自分ごとにできる環境をつくるというものだ。
以上が上田さんの話。
ぼくもそのとおりだと思う。特にエネルギーの問題については、エネルギーの技術的な問題もさることながら、ぼくらの社会をどんな社会にしていくのか、自分はどのような生き方をしていくのか、そういったところから考えていかない限り解決しない問題だ。
一部の専門家だけが考えればよいということでは到底ありえない。
多くの市民が、我がこととしてエネルギーのことを学び、調べ、自分の頭で考える。そのことなくして、新たな社会づくりはできない。
ぼくらは、何ごとにおいても、「我がこと」「自分ごと」として考えることがなくなってきてしまった。何につけても、
「どうなってるんですか?」、「どうするつもりですか?」
と言うだけだ。そして、文句をつける。
自分の責任でものごとを進めることがなくなってきてしまったのも、こうなった大きな要因だろう。
ぼくも大きなことは言えない。何しろ、そこそこの規模の企業に勤める会社員。
出勤して仕事をしていれば、生活に困ることはない。
だが、例えば自営業の人は大違いだ。日々が自分の責任の上に成立している。
そういった人と話をすると、学ぶことが多い。
企業は、よく利益を追求する集団だと言われる。本当は違うと思う。社会の中で果たすべき役割、例えば多くの人のために役立つ商品を提供し、その見返りとして利益が生じる。そういうことだと思う。
ぼく自身は、自分の生活そのものはそこそこ安定しているわけだから、それはそれで活用し、まさにこれからみなで考えるべきエネルギーの問題、これについて一人でも多く「我がこと」として考える人を増やすことをやる、これが現代に生きる自分の未来の世代に対しての責務の一つだと考えている。
エネルギーを考えることは、持続可能性を考えることとほぼイコールだ。
なぜなら、化石燃料やウラン燃料に頼る限り、限りあるエネルギー源を使い、使った結果として有限の閉空間である地球に廃棄物を放出するわけで、どう考えても続くわけがない。つまり持続可能ではないのだ。
ではどうすれば持続可能になるのか。持続可能な状態に近づくことができるのか。
その大きなテーマにすぐにぶちあたるはずなのだ。
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