●2022年を社会の変革(transforming our world)へと動く年に
昨年の大晦日、「2020年をピークアウトの年にしよう」と投稿した。ピークアウトとはCO2の排出がピークを迎え減少へと転じることだ。2020年、COVID-19の影響でCO2排出は前年から5%以上減少した。ピークアウトできるチャンスであった。
だが現実はリバウンドを起こしてしまった(グラフ参照)。
どうすればピークアウトできるのだろうか?
ピークアウトする社会になるのだろうか?
「DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法」( https://drawdownjapan.org/ )に書かれていることをすみやかに着実に進めるべきであることは言うまでもない。
だがそれには、それらを進めようという大きな社会的意思が必要だと思う。その意思形成がなければ、相変わらず「できることから始めよう」で止まってしまいそうだ。
できることから始めることは、物ごとの取りかかりとしては大切なことだが、その意識のもとでは、できることをやった次に、このままではできないことへと進めない。
次のステップ(このままではできないこと)、それは非常に大きなステップとなるはずだが、そこに進むには社会的意思形成が欠かせない。
その社会的意思形成は為政者が決めて上から押しつけるものではなく、生活者の意識から形成されるものでなければならないと思う。
その時に重要なのが環境倫理だ。
日本に環境倫理学を持ち込んだ加藤尚武さんは、環境倫理学の主張は次の3つであるとした。
1) 自然の生存権:人間だけでなく、生物の種、生態系、景観などにも生存の権利があり、勝手にそれを否定してはならない
2) 世代間倫理:現在世代は、未来世代の生存可能性に対して責任がある
3) 地球全体主義:地球の生態系は開いた宇宙ではなく閉じた世界である
※出典:「環境倫理学のすすめ」、加藤尚武
なぜ環境倫理が重要なのか?
それは環境倫理が、社会のしくみやきまりを作るうえでの基礎あるいは前提となるものだからだ。
環境問題の解決では個人の心がけやライフスタイルを変えることが提唱される。大切なことである一方、多くの人は疑問を持つのではないだろうか。こんな個人の取り組みだけでできる改善などたいしたことではないのではないか?こんなことでは気候変動は緩和しないだろう、と。その通りである。
そこに環境倫理を持ち込むことで、社会全体の基礎、社会のあり方の規範に関心が向き、考え、その結果として社会の思想がなされるようになるはずだ。
環境倫理を理解し意識することにより、個人の心がけレベルの意識は、社会の基礎や前提へと向き、社会を変えなければという考えが醸成されていくだろう。
これから10年間弱のうちに大改善しなければならない環境問題には気候変動と生物多様性がある。
どちらも根本からの取り組みが欠かせない。どのようなことが根本なのか、それを示すのが環境倫理の3つの主張である。
環境倫理の主張を理解し、広めていこう。
そして大事なことは、環境倫理の主張に基づいて気づいたこと、考えたことを口に出すなり、文章にするなり、自分以外の人に伝え、共有し、語り合うことだ。
それが社会を変革していく力となる。
2022年を、社会を変革していく動きが実感できる年にしたい。
みなさん、一緒に取り組みませんか?
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